クラシック音楽初心者へのおすすめアニメ

映画

ウォルト・ディズニー

『ファンタジア』&『ファンタジア2000

 

クラシック音楽を気軽に楽しみ、その曲を覚えたい方には、ディズニーの長編アニメーション映画『ファンタジア』(1940年制作)をおすすめします。

 

クラシック音楽の名曲からインスピレーションを得て、全部で8曲がアニメ化されています(最近のDVDには特典でさらに未公開の1曲が付いています)。

 

映画の冒頭でナレーションが『ファンタジア』についてこう説明します。

「これからご覧に入れる映像や物語は芸術家の想像力を介した音楽の姿です。音楽の専門家による解釈ではないところがいいのです」

 

「クラシック音楽をアニメで楽しむなど邪道だ」と考える人もいるかもしれません。

 

つまり、

「音楽は純粋に耳だけで聴き、聴く人がそれぞれ自分勝手にイメージするから面白いのだ。他人のイメージに引きずられてはいけない」というわけです。

 

でも『ファンタジア』を制作した才能あふれるアニメーター達の想像力は、そういった考えを吹き飛ばしてしまうほどパワフルです。

 

あれこれ考えずに作品を鑑賞し、音と映像のコラボレーションに身を委ねてみれば、その楽しさに納得せざるを得ないはずです。

 

もし『ファンタジア』で親しんで覚えた曲を、映像抜きで聴いてみたらどうなるでしょうか。

曲の聴き初めから最後まで『ファンタジア』のイメージが頭の中によみがえり、それに引きずられることになるのでしょうか?

 

映像の細部を最初から最後まで完全に記憶することはできないでしょうから、きっと不完全な形で頭の中にイメージが浮かんでくることでしょう。

 

だからといってそれが悪いわけことにはなりません。

 

覚えた旋律に意識を集中し、その美しさや魅力を存分に味わえれば、こんなに楽しいことはないのですから。

 

クラシック音楽の旋律を楽しみながら覚えるには、「ファンタジア」を鑑賞するのが一番なのです。

 

 

このアニメは、レオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団のコンサート会場で、音楽に合わせて画像が動き出す体裁になっています。

 

途中聞こえてくる音声は、ナレーションおよび途中で登場するミッキーマウスと指揮者ストコフスキーの会話だけです。

アニメーションの中では一切セリフはありません。

 

アニメーションはハッキリしたストーリーのあるものばかりではなく、抽象的なものもあります。

 

『ファンタジア』の続編『ファンタジア2000』(1999年制作)の中に説明がありますが、それぞれの動画は

 

  • 物語性のあるもの
  • 特に物語はないが一連の情景を表現したもの
  • 音の構成だけを追求したもの

 

の3つに分類されます。

 

 

物語性のないアニメーションは面白みに欠けるのではないかと心配する必要はありません。

音楽と絵の動きがピタリと一致しているので、演奏を聴きながら目で映像を追っていけば、飽きることなく曲の終わりまで楽しむことができます。

 

『ファンタジア』はなんと1940年に制作されました

日本での公開は戦争の終わった後、1955年です。

 

当然デジタル技術がありませんから、画像自体は今より劣っています。

しかしアニメーション自体の完成度は非常に高く、作品としてまったく古さを感じさせません。

 

わたしは姉に連れられて有楽町で『ファンタジア』を鑑賞しました。ネットで調べてみると、1967年1月21日から日比谷のみゆき座で再上映されていました。当時わたしは中学3年生。

 

正確な記憶ではないですが、全く聴いたことのない曲(「魔法使いの弟子」「禿山の一夜」「アヴェ・マリア」)ばかりではなく、出だしや途中のフレーズなど一部は知っている曲(「トッカータとフーガ ニ短調」「田園」「くるみ割り人形」「春の祭典」「時の踊り」)もありました。

 

特に衝撃を受けたのはムソルグスキーの「禿山の一夜」とストラヴィンスキーの「春の祭典」です。

 

前者は学校の放送部に、昼休中のBGMとしてリクエストした記憶があります(レコードが無く実現しませんでしたが)。

 

ストラヴィンスキーの「春の祭典」は『ファンタジア』がきっかけでお気に入りになった曲です。

 

子供の頃、台風接近や災害発生などの怖いニュースのBGMに使われていた聞き覚えのある旋律が、「春の祭典」の途中でいきなり聞こえて来たのです。その時には本当におどろきました。

 

『ファンタジア』は、成人して子供が出来てからも、子供と一緒にビデオテープで何度も繰り返し楽しみました。

 

年齢が低いと長めのアニメは見続けられないかも知れませんが、さすがはディズニー映画です。笑えるシーンもたくさんあるので、その子の(クラシック音楽初心者の方にも)気に入る曲が必ず見つかります。

 

 

『ファンタジア2000』は続編で、1999年に制作され日本では2000年に公開されました。

 

今回初めてDVDで鑑賞しましたが、「ランプソディ―・イン・ブルー」がスピーディーで面白く、ギャグ漫画っぽいところが大変気に入りました。

 

「トイ・ストーリー」ファンの方は、タッチの似ているアンデルセンの「すずの兵隊」がおすすめです。音楽はショスタコーヴィチ作曲ピアノ協奏曲2番。

『ファンタジア2000』でショスタコーヴィチ初体験はいかがでしょうか?

 

『ファンタジア』をご覧になった方は、是非『ファンタジア2000』もご覧いただき、クラシック音楽のレパートリーを広げてみてください。

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